倒産事件

早期に事業再生が実現した事案

 業界内における価格競争やデジタル化に伴う売上不振によって資金繰りの悪化したA社(製造業)は,平成22年に民事再生手続の申立てを決断し,裁判所から手続開始決定を受けました。幸いにして申立てからほどなくして同業大手のB社が支援してくださることになり,これをもとにA社は再生計画を立案することになりました。
 具体的には,100%減資した上で第三者割当によってB社から出資を受けると共に,数億円の融資も受け,これを①工場に設定されている根抵当権を消滅させるために根抵当権者(金融機関)に支払う弁済原資,②再生債権者(一般債権者)に支払う弁済原資,③運転資金に充てる再生計画を立案しました。
 再生計画を立案するに当たっては,対象会社(A社)の資産・負債を評定し,清算(破産)した場合に想定される配当率を上回る弁済率となるようにする必要があります。本件では破産配当率が1%台だったため,再生計画においては再生債権の10万円以下の部分については100%弁済し,10万円を超える部分については9%台とし,残額については免除をお願いすることとしました。
 その後,B社とのスポンサー契約や根抵当権者との別除権協定(一部弁済と引き換えに根抵当権を放棄してもらう合意)も締結できたため,再生債権者に再生計画をお諮りしたところ,議決に参加した全再生債権者の賛成を得て,平成23年,裁判所からも再生計画の認可を受けられました。
 そこでA社はB社からの出資及び融資を受けて再生計画を実行し,その約1か月後に民事再生手続を終結させることができました。A社は現在,B社と提携して事業に邁進しつつ,B社への返済を続けています。

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